国土交通省は、バス事業者が車体を2台つなげた「連節バス」を導入しやすくする。
混雑の解消が進んでいない大都市の郊外を中心に、一度にたくさんの乗客を運べるようにして混雑緩和に役立ててもらう。
運転手の不足で路線維持が難しくなっている地域もあり、運行効率を高めるねらいもある。
普及に向け、費用の助成制度を来年度中に設けることも検討する。
車体をほろで連結させたバスは全長約18メートルで、乗車定員が120人程度と通常の乗り合いバスの約1.5倍。
一度の運行でより多くの乗客を運べる利点がある。
ただ、製造会社が独メルセデス・ベンツやスウェーデンのボルボなどに限られ、バス事業者は海外製の車体を購入する必要がある。
国交省は輸入や公道を走るための煩雑な申請手続きが普及してこなかった原因と判断。
手続きを明示した指針をつくり、バス事業者が導入しやすくする。
1台1億円前後と高額な初期費用を軽減するための助成制度を設けることも検討する。いまはバス専用レーンなどと一体で整備する場合に限って車体購入費の3分の1を補助しているが、今後は車体だけを導入するときなどにも補助して事業者の使い勝手をよくする。
厳しい経営環境や若年層のクルマ離れを背景に、都市部でもバスの運転手を確保するのが難しくなっている。
国交省の調べでは、2011年度の乗り合いバスの運転手は約8万5千人とピークの1976年度から25%減った。
「少ない人員で多くの乗客を運べる連節バスで運行効率を高める必要がある」(同省)
国交省によると、国内では京成バスや神姫バスなど5事業者が導入済みで、計40台程度が運行している。
新潟市のほか、東京都中央区などが導入を検討している。
20年の東京五輪・パラリンピックに向け東京臨海部には多くの競技会場となる施設が新設されるが、都心に直結する交通機関が少なく、連節バスは観光客の便利な移動手段となる効果が期待できる。
(日本経済新聞 2014年5月10日)