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其れはまた別のお話

君は誰?

一人なの?

じゃあ…一緒に暮らそうー…?


一人きりの暮らしは夕暮れに変わる

無邪気な姿はおかしくて、可愛いと思う

君は「未来」から来たロボット

俺は「今」を居きる人間

混ざらない様な縁が

見えない宿星に導かれて、出逢う

一期一会の世の中はさよならだけが遺るから…

ひらり、首布を羨ましがる君

いつかは買ってあげようか…なんて…

眠る刀と夕焼けと君

穏やかに過ぎる今が

きっと幸せだと、俺は思ってるんだー…
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present for you.

それは思い掛けず渡されては

その気持ちに、困ってしまうー…



「二猿君!」

次の授業に備え廊下を歩いていた俺を高い声が呼び止めた

振り返ると何度か会話をした女子生徒が居た

「…何…?」

簡潔に用件を問えば、なにやらそわそわとした後、小さな袋を渡された

「これ、良かったら使って!」

そう言い残すとコチラの返答を待たず数メートル離れた位置にいた友達らしき女生徒の元へと駆けて行った

時々女子の行動は良く解らないモノである…

「白昼から貢ぎ物とはモテるねぇ〜、色男?」

聴き慣れた声に視線を向ければ

壁に寄り掛かり、ニヤニヤと笑う漣が居た

「…別に、貢がれてはいない…」

そんなつもりは毛頭無いと口にする

「言葉の文だ、ってかこんな鉄面皮の何処が良いのか解んねぇなぁ…」

冗談に決まってるだろうがよ、と半眼て訴えながら漣が隣に並ぶ

「で?何が入ってんだ?」

興味津々で袋を見つめ、開封を催促してくる

別にお前に渡された訳では無いだろうにー…

「ホラホラ、開けた開けた!」
 
ニヤニヤと笑われる

まぁ、『使え』と言われた以上確認しなくてはなるまい

袋を開くと、掌サイズのケースが出てきた

「何じゃこりゃ?」

筆箱か?と漣は首を傾げたが、俺には見慣れた物だった

ケースを開く

そこには、読み通りの物が収納されていた

「眼鏡?」

「…だな…」

細く黒い縁の薄い眼鏡

「普通こんなの渡すかぁ?」

漣は期待外れといった態度を見せる

くどい様だが、コレは俺に渡された物で、漣にはある種関係の無い事である

「まぁ、悪くは無ぇんじゃねぇの?」

ニッと眼鏡と俺を見比べ笑われた

「…そうでも…無い…」

確かにデザイン等に申し分は無い

ただ、懸念材料がコレには存在している

「今時眼鏡なんて安売りしてるぜ?」

渋る俺に呆れた様子を向けられた

確かに、金銭面も気にはなる

しかし、今はそれよりも気になる点が有るのだ

「あ"〜…、焦れってぇなぁ、一回ぐらい使ってやるのが男だろう!?」

「しかし…?…何を…!?」

グイグイと空き教室に押し込まれ振り向いた瞬間に掛けていた眼鏡を奪われる

「漣」

「ほれ、文句言うな」

素顔を出来るだけ晒したくない俺は軽く抗議を視線を向ける

しかし、問答無用で先程渡された眼鏡を着けられた

「ん、まぁ、悪く無ぇな」

声はすれど表情が良く解らない

視界が歪むー…

「………っ…」

不意に目眩に似た感覚に襲われ、壁に片腕を着いた

「…!…オイ、大丈夫か?」

空いている左手で眼鏡を外す

よろめいた俺を心配する漣の顔が見えた

「……問題無い…」

「嘘吐け、貧血か?」

どうも漣は何が起きたか理解していないようだ

小さく溜息を吐く

「…度が入っていた…」

渡された眼鏡に視線を向ける

「…あ〜…そういやお前、伊達眼鏡だもんなぁ…?」

思い出した様に漣は納得をした

視力は良い方なので、俺が使う眼鏡には度が入っていないのである

急に度が入った眼鏡を着けたせいで一瞬感覚が歪んでしまったのだ…

「申し訳無いが、コレは使えない」

俺は眼鏡をケースに仕舞い、袋へ戻した

漣が黙ったまま奪った眼鏡を返す

「コレは、返す事にする…」

いつもの眼鏡を掛け、俺は教室のドアを開ける

「何だかなぁ〜…」

漣は頭を掻き、複雑そうな表情を浮かべている

「知らないなら仕方ない。授業に遅れるぞ…?」

そう言って俺は次の教室へと歩を進めたー…


ーーーーーーーーーーーーーー

放課後

合わなかった事と謝罪を述べ、俺は女生徒へ贈り物を返した

驚き、残念そうにする彼女に、気持ちだけは受け取る趣旨を告げる

すると、『今度は、別な物にするね?』と笑顔を向けて彼女は去って行った

「……やっぱり、納得行かねぇなぁ…」

『たまたま』居た漣が木陰から声を掛けてきた

「…視力への影響は困る…」

狙撃手として答えると漣は半眼で一言

「………鈍……」

とだけ言って歩いて行った


結果はどうであれ、何かを贈ると言う行為は相手が自分を想う事だ

その気持ちを受け止め、大事にする事が受け取り手の在るべき姿だと思う

時々、その想いに困惑もする

だが、其れに対して真摯に応えられる人間でありたいとも思うのだ…

そんな思考を巡らせた後

遠くで待つ人影に向けて、俺は歩を進めて行ったー…
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