てっきり書いたと思ってたのに書いてなかったネタ。
CPではなくコンビって感じになった。
ラピードとエステルも出るよ
世界観としては人ではない人達が暮らしている世界。魔界みたいな感じで考えてる。
狼使いは無理矢理狼達を従わせて奴隷のように扱っている。そんな狼使い達のやりかたに反発したユーリは一族から離れ、相棒のラピードと共に世界をふらふらしていた。
ある日のこと、森で小さな村を見つけるが、そこが狼達の村だったのでユーリは少し離れた木の上で夜を過ごす。
しばらくしてラピードに起こされ、ユーリは狼達の村で煙と悲鳴があがっているのに気付く。
急いで村に行くとちょうど村を襲った狼使い達が村を去る所で、追いかけようとするユーリをラピードが制止して一軒の燃え盛る家へと案内をする。
ラピードの後を追って家に入ると女性達の遺体の前でラピードが吠える。
生死を確認していくが皆死んでいて「おいラピード…。」とユーリが何か言いたげに声をかけるが、ラピードは一番下に顔を捩じ込もうとした後に顔を上げて再度吠える。
一番下敷きになっていた女性をひっくり返すと小さな子供を守るように抱えて死んでいた。
血塗れではあるが子供は怪我をしていないようで、脈も呼吸も正常で、気絶しているだけのようだ。
「…!、よくやったラピード」
わしわしとラピードの頭を撫でてやると、ラピードは「ワン」と吠えた後急いで来た道を引き返し、ユーリもそれに続いて子供を抱えて走りだした。
家を出ると狼使い達の姿は当然無く、とりあえず子供の治療が先だと急いで知り合いの魔女の元へと急いで向かった。
二日ほど前、この広く深い森の入り口近くに住む知り合いの魔女の所に寄った所だった。急げば1日ほどで到着するだろう。彼女の薬も治癒術もよく効くと評判で、あちこちに薬を売って生計を立てている。
助けた子供も特に怪我をしているように見えなかったからそのうち起きるだろうと思ったが、結局目覚めることなく魔女の家に着いてしまった。
「エステル、悪い。急患だ」
「ユーリ?!いったい何があったんです?!……いえ、先に治療をしますね。ユーリとラピードは休んでいてください。」
子供を抱え治療室へとエステルが消えていくのを見送ったユーリは、エステルの言葉に甘えて居間のソファで横になる。
寝ずにここまで来たからくたくただった。
「おはようございますユーリ」
目を覚ますと、エステルがのんびりとお茶を飲んでいる所だった。
「ああ、おはよう。ガキの様子はどうだ?」
「目立った怪我は無くて、軽い打ち身と擦り傷、あと火傷が少しあるだけで、たいしたことは無いんですが…。」
「…起きねぇのか」
「はい…。あの、ユーリ。何があったんですか?」
ユーリはエステルにあの村で起きたことを話す。
エステルはユーリの話を自分の身に起きたことのように青い顔をして聞いていた。
「…。そんなことが……。じゃああの子はその時のショックで…。」
「だろうな」
「私も病気や怪我は治せても心の傷までは癒せません…。なんて伝えたらいいんでしょう…」
「ま、そのへんの話は実際に見てきた俺がするさ。」
「えっ、でも…ユーリは…」
「大丈夫、なんとかなるだろ」
「……はい。」
狼使いであるユーリが狼使いが村を襲ったのだと告げることに不安そうなエステルだったが、その不安も子供がなかなか目覚めないことの方に刷り変わっていった。
結局子供が起きたのは翌日の昼間だった。
「良かった…!目が覚めたんですね。どこか痛い所はありませんか?あ、お腹すいてます?」
「………ひっ…!」
心配して駆け寄り手を差しのべるエステルの手を酷く脅えた表情で子供は払いのける。
「あ、…ご、ごめんなさい…。」
「い、いえ…。私の方こそ……」
ぎこちない空気になった所でユーリが前に出る。
「なんか尋常じゃねぇ怯えかただな。大丈夫なのか」
「……!お前は…!!」
ユーリの姿を見るや今度は喉笛に食いつかんばかりの勢いと形相で起き上がる。
しかし昏睡状態から目覚めたばかりの体は思うように動かずベッドから落ちそうになるのをラピードが背を滑り込ませて助ける。
「まだ寝てろ。」
「僕はお前達を絶対に許さないぞ。よくも…よくも村の皆を…!」
「待ってください!ユーリはあなたを助けたんです」
「ワウワン!」
エステルとラピードのおかげで子供は少し落ち着いたが、それでも信用できないようで未だ敵意の籠る瞳で睨みながら喉を鳴らして威嚇している。
「俺もお前に聞きたいことがある。あの村で何があった。狼使いが襲ったのはわかったが、狼を拐うだけならあそこまでしねぇ」
「……見せしめだって言ってた。」
「見せしめ…?」
「狼使いに歯向かうとこうなるって。父上は仲間を助けようとしてただけなのに…。」
「なるほど、あの村は解放軍のアジトだったって訳か…。わかった。んじゃ、飯食って寝てろよ坊主。」
「…食事に毒を仕込む気だな」
「んな勿体ないことするなら俺は腹空かせてる奴の前で美味そうに飯食ってやるよ」
「あ、あの。料理なら私がするので大丈夫ですよ。できたら持ってくるので、ゆっくり休んでいてくださいね」
エステルとユーリが部屋から出ていき、子供とラピードだけが残された。
「……。なぁ、お前の主人は本当に悪い奴じゃないのか」
「ワン!」
「……ねぇ、話を聞かせて。」
そうしてエステルが食事を用意してくるまでの間一人と一匹はずっと話をしていた。
「ご飯の用意ができました。」
「ありがとうございます。あの…ユーリさんを呼んできてもらえませんか。」
「ユーリを…?わかりました。すぐに呼んできますね」
「で、なんだ坊主。」
「あの…さっきはごめんなさい。ラピードから聞きました。狼使いから狼達を逃がす旅をしているって」
「お前はそれを信じるのか」
「はい。村で噂を聞いていたんです。狼使いから狼を逃がしてる仲間が居るって…。まさか、仲間じゃなくて狼使いが逃がしてるとは思いませんでしたけど」
「へぇ、そんな有名になってたとはな」
「村には何人か逃げてきた人も居て、組織的に仲間を助けに行く計画も立ててたんですけど…。あの、お願いです。僕も旅に連れていってください。父上の成せなかったことと仲間達の無念のために」
「つってもなぁ…。」
「村で剣の稽古もしていました。まだそんなに上手くないけど…でも、これから上手くなります。お願いします」
困った顔をして視線を反らすと、心配そうにしているエステルと目があった。
「あの、ユーリ。連れていってあげてください。家族も亡くなって身寄りも無いみたいですし…。」
「おいおい、こんな子供を危険な旅に連れていけってのか」
「狼族は成人までの成長が早いんです。足手まといにはなりません。だから…」
泣き出しそうな声で懇願する子供の声を「わかったよ」と遮る。
「このまま置いていっても着いてきそうだしな。その代わりちゃんと言うこと聞けよ?」
「はい!ありがとうございます!」
「それじゃ、お前の体調が良くなり次第出発するからよろしくな。えーっと…」
まだ名前を伝えていないことを思い出して慌てて名乗る。
「あっ、ガイラルディアです。よろしくお願いしますユーリさん」
「そうか、じゃあなガイ。飯食って寝てろよ」
「ふふ、良かったですねガイ」
「エステルさんもありがとう」
数日後すっかり元気になったガイがユーリと共に旅に出る。
まずは近くの街に行きガイの旅に必要な物と情報収集をすることになる。
※※※
長くなりすぎたので突発文はここまで。
入りきらなかったネタというか設定というか↓
・このあとユーリに剣を教えてもらいながらガイは剣の腕が上達していく。
・狼使いと狼男が一緒に居る方が潜入も楽だし情報もあつまりやすい。
・ガイは数年でユーリと同じくらいの姿に成長していく。
・狼族は成人してからの成長速度は人間と同じくらい