「救済を喜ぶ者が、誰か分かるか?」
「え?」
「……罪深く、苦悩する奴等こそが神と救いに歓喜する。
彼奴もその中の一人、という訳だ」
「許さない。
この世界を破壊するなど……有ってはならないのが解らないのか?」
「この世界は死なない、傷付かない。
それは生きてないのと一緒じゃないか!」
「黙れ!!
貴様等は反逆者だ。その罪、望み通り痛みを以て知るがいい!!」
「痛くて、辛くて、苦しい。
そんな世界、怖い。俺も同じだ。
だから、俺達と一緒に生きてみないか?」
「止めろ、やめろ……俺の中に、入ってくるな……
もう無理なんだ、あんな、あんな世界に帰るくらいなら、いっそ……」
「君達の為に、道は作った。
俺達はもう限界。さよならだけど、ね」
「ありがとう」
「……私も……あの人に、会ってみたかったなぁ……」
「仕方ないよ、それが役割なんだから」
「まさか、そんな……」
「お前達は生きると決めた。
その選択の為に、その手を汚した」
「でも!!」
「選べ。
俺を殺して、生きるのだろう?」
「おはよう。初めましてかな?
ようこそ、この絶望的な世界へ」
「貴方は?」
「僕は、あの世界を創った一人。
そして、あの子達を創った人間さ」
白い猫が駆ける
赤紫の鴉が飛ぶ
機械仕掛けの歌姫が、紡ぐ世界から
目醒めた8人は瓦礫の世界に降り立った。