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融けて侵略する論語

どうせ、何時かはー…

―――――ーーーーーーーーーーーーーー

「寄るな、来るな、顔も見たく無ぇ」

「テメェが居ないと任務が遅くなんだよ、さっさと行くぜ?」


いつもの様に吐き捨てた台詞。

恒例になりつつあって、その真意はあやふやになりそうだった。

学園の中でも人気が少ない外の非常階段で、何気無く自分の掌を眺めていた。

得体の知れない不快感に、クッと小さく喉で笑ってやる。


歌姫の輝きを見てた、
凄く綺麗で手を伸ばしたくなる衝動が湧く。

かつての友を失ったアンタの、白に滑る水を見てた。

何か滑稽な程染み渡るから、声を上げて笑ってやった。

俺に気付いたお前は微か、他の誰も気付かない様に微笑う。

笑う、嗤う、ワラウ…ー。

白い指が目許に触れた。

「…泣くな」

明日が嫌い、お前達が居無くなってく。

でも、今は少し空気が軽く感じた。



驚くべき効果を発揮して、お前は周りを変えていく。

一家に一台有ったら凄そう、でもかなり危険かも?

快晴の屋上、誰も居ない日常に想像して着色。

お前の複製売り捌いても中毒の様に満たされ無いんだ。


お前はまるで神様みたいに、世界で初めて俺にも見えるソレ…。

薄く笑ってお前は行ったよ。

遠く離れた、場所に行ったよ。

何時もみたいに「帰ってくる」って、そう言い残して…。



弾かれたコインの円が廻る。

閉じられた無限大の様に…。

逢えない日々に走り出してた、円の隅っこを探して。


真っ白な場所、青い空。

フェンス越しに銃口を向け立つ、お前は何を見てた?


クルクル廻るコインは落ちるよ。

潰える運命とか言いた気にでも。


錆れた階段駆け上がりながら、暗い扉を力任せに開く。


あぁ、ほら、眩しい白、青、フェンス越しの風…。


床に弾けたコインを無視して、苦しいぐらい首を抱きしめる。



時にはナイフに映り、時に締め上げても、何時もお前が来て止まるのに…。



今日に限ってお前は来ない。




力が抜けた両膝を着いて、ゆっくりと白を握る。

緩慢な動作で銃口を向ける。

ぼやけた視界を闇に沈めた…。


後ろで暗い扉が軋んで開く。



闇の中にも扉が有って。

無意識にソレを開いたんだよ。

そこには何時ものお前が居て、俺に笑う。

わらう、ワラウ、微笑う…ー。

「…ただいま」

優しく触れた白い掌が軽く頭を撫でて微笑む。



なんだ、そういう事なのか…。



するり掌から白い銃が落ちた。

カシャンと音立てて何かが変わった。

静か過ぎる空の下で、

気付いてしまった…。


熱い何かが頬をなぞるよ。

ゆるゆると左胸を握るよ。

壊れそうな程大きな声で、叫び出してた。



喉が裂けても構わないんだよ。

四肢が消えても平気なんだよ。


だって「此処」にお前が居るなら。

問題は何も無いんだから。


座り込んでた力無い体は、空を仰ぎ激しさを歌う。

規則正しい音が胸を打つ。

熱い、熱い、アツイ…ー。


今日も、明日も、どんな時も。

「…お前らしく、生きれば良い…」

そう言ってるお前に今もまた生かされる。

赤い血も、水も、空気も全部お前が俺に注ぐ。









何時かこの左胸の、

心臓が冷たくなったら、

会いに、行くよ

逢いに、逝くよ


だからそこに居て…。
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