「あたしだけはあなたのこと、ずっと好きでいるから」
そんな嘘、何の慰めにもなってないよな、と彼は笑った
煙草をふかしながら、笑った
黄色い歯が見えて、あたしも笑った
悔しくて、笑った
まるできみのことみたいだね、と小雪がちらつくように笑ったあなたを許せなくなったみたい
そんな風にしたのはあなたでしょうに、
作りかけの玉子焼きがじりじりと嫌な音をずっとたてている
知らないふりをして嘘笑いを浮かべ産着をさがすわたしに
もうすぐごみになるブラウン管を孤独なほど真剣に見つめているあなたに
お腹をさするわたしに
でくのぼうのあなたに
もうなにも求めやしないでしょうね
まぶたにかかし、まぶたにかかし、まぶたにかかしをたてました
誰もが一度は間違うでしょう、わたしとかかしを
それがねらい
まぶたにかかし、まぶたにかかしをたてました
誰もが近寄らなくなるでしょう、わたしとかかしに
それがほんとう
まぶたにかかしをたてました
誰もが心配をするでしょう、わたしはかかしか
それがつらい
まぶたにかかし、まぶたにかかし、悲しいから、まぶたにかかしをたてました
まぶたにかかし、まぶたにかかし、まぶたのうえ、悲しいかかしをたてました
マリンブルーに埋もれてみたいだろう
醜い、と思われるのはごめんです、それでも入れないのです
マリンブルーに埋もれてみないだろう
綺麗な色のバスソルト、後ろには誰もいません
マリンブルーに埋もれているしたいだろう
安易に想像が出来てしまう、小さい頃からのくせなのです
それが普通になってしまえばなんてことはないのです、それを責めないで、それを責めないでください
浴槽は海みたい