酷い夢を見た気がする。

狭いシャワールーム、従属の左胸輝くナイフ、滲む鮮血。


貫く鉄槍穴だらけ、開いた瞠目、染まる青色。

誰かの悲鳴を聴いた気がする。


宙ぶらりんの親友に、針千本と刺さるナイフ、首筋絡むワイヤー一本。


誰かの慟哭を聴いた気がする。


紐一筋、揺れる少年、割れた頭から垂れる赤筋、溜まる血潮。


誰かの泣き声を聴いた気がする。


逃げ出す長身、貫く弾丸、額の風穴、割れたレンズ。


誰かの嘆きを聴いた気がする。


陥没頭部、沈む血の海、青色髪に砕けた色彩白墨塵芥。

潰れた頭から、薄目黄緑流れる滴、掠れた謝罪に朦朧懺悔。


誰かの悲しみを聴いた気がする。


赤々長髪振り乱し、器刺さる杭、爆発四散、散り散りの血飛沫。


誰かの狂気を聴いた気がする。


音を無くした赤い青年、凭れ微笑む口元一筋、汚染された血液。


砕ける機械兎、夢幻、破片残骸、涙も無い。


誰かの盲信を聴いた気がする。


押し潰された肉塊、投げ捨てた手帳、金の毛髪。

誰かの絶望を聴いた気がする。










白色少女が寄り添った。
橙少女は涙を拭いた。
赤紫の青年は笑った。



俺は。



俺は、






前を向いて歩き出す。





希望の言葉を確かに紡いだ。