初めてインプラントの説明を聞いた人は、差し歯とどう違うのか疑問に思うかもしれません。
差し歯は文字通り、歯に差し込むものです。
つまり、歯の上半分だけが無くなった場合に、残った下半分を利用して義歯を付けるものなのです。
ですから、抜歯してしまって歯がない場合は埋め込む所がないので使えません。
対して、インプラントは差し歯と異なり、金属製の歯根を顎の骨に埋め込んで癒着させ、その上に人工の歯を取り付けて固定するという施術なのです。
自由診療になるので差し歯より高いですが、歯がなくなっていても利用できるのがインプラントの強みです。
一般的にはインプラント埋入手術を日帰りで行います。
使われるのは部分麻酔で、入院することはめったにありません。
麻酔が効きにくいケースや、血液系や循環器系の持病があるケースでは入院設備が整ったところで手術する必要もあります。
あるいは、インプラントの土台になるだけの厚みを持った骨がないと、埋入の前に骨移植が必要になることもあります。
腸骨など自分の骨を削り出し、移植する場合、入院が必要になることもあるので、注意してください。
これらのどこかに当てはまる方は信頼できる歯科医とよく話し合った上で、治療計画を立てていってください。
いろいろな事情からインプラント治療を始めるでしょうが、治療費は総額でいくらか、深刻な問題だと思います。
現実には、治療費といっても地域や、歯科医によって幅があるのが普通です。
保険適用外がほとんどであるインプラント治療は、歯科医院の裁量で、治療費を決められるのです。
それでも、相場はあると言えます。
インプラントが欠損歯一本分とすれば、30万円ないしは50万円くらいというのがおおよその相場と考えてください。
基本的に全て自費治療となるのが、インプラント治療の現状です。
費用面で、治療を躊躇する方もまだまだ多いのです。
しかし、クレジットカードの分割払いや、デンタルローンなどの名前をつけて分割払いに申し込める歯科医院が多く、けっこう融通が利きます。
手持ちの資金が十分でなくても、インプラント治療の開始はできる状況になっています。
他の歯科治療と、インプラント治療が大きく異なるのは失敗したとき、やり直しはほとんどあり得ないという点です。
他の義歯、つまり入れ歯やブリッジ、クラウンとは異なり人工歯根は完全にあごの骨と結合しなければならないので何らかの理由でインプラントと骨がなじまず、インプラントがしっかり固定されないというアクシデントがあれば普通は再手術しか手段はなく、骨を深く削る大がかりなことになってしまいます。
また、あごの骨を掘ってインプラントを埋入するため、周辺の神経を損傷する危険性もあります。