25年間手入れ不要と言われた木造橋が10年ほどで腐食し使えなくなった、として、千葉県野田市は26日、橋を同市に無償譲渡した都市再生機構(UR)を相手取り、再建築を求める訴訟をおこすと発表した。橋は現在、主橋梁(きょうりょう)部が撤去され、利用できなくなっている。

木造の「とんとんみずき橋」は、UR(当時は住宅・都市整備公団)が1998年、同市みずき地区に設置した歩行者用の橋で、全長194メートル、幅4〜6メートル。市道をまたいで住宅地同士を結び、当時は木造橋としては日本で2番目の長さと言われた。

アフリカ産のボンゴシ材を使い、同市によるとURから「25年間、手入れする必要はない」との説明を受け、2002年に譲り受けたという。しかし同市の点検・調査で、06年には一部腐食が見つかり、10年にはすべての主桁で断面の30%が腐食していることが分かった。そのため、同年には橋が全面通行止めとなり、翌11年7月、主橋梁部64メートルをURが撤去した。

木造橋が地域のシンボルだったため、同市はURに再建築を求めてきたが、URから「法的責任を負うべき根拠がない」との回答が寄せられ、訴訟に踏み切った。訴えでは、再建築のほか、市が支出した維持管理費476万円も請求する。

根本崇市長は、橋の譲渡前の1999年に、愛媛県でボンゴシ材を使った木造橋が腐食、落下した事故があったことに触れ「URは、問題があることは分かっていたはずなのに、25年は手入れ不要との説明のままだった」と批判する。

一方、URは「橋が使用できない状態であることは、遺憾に思っている。市が行う法的措置に適切に対応したい」とコメントしている。
www.asahi.com