緊急事態宣言中でも病床は逼迫していなかった…病院経営者だけを潤した"コロナ補助金"の不可解

10/14(土) 10:17配信
プレジデントオンライン

日本のコロナ対策にはどんな問題があったのか。医療ガバナンス研究所理事長で医師の上昌広さんは「政府は新型コロナ用に病床を確保した病院に補助金を出していた。補助金を受け取った病院のなかには、積極的に新型コロナの患者を受け入れなかった病院も少なくなかった」という――。

■病院の経営者たちは補助金バブルに沸いていた

 新型コロナでチャンスが到来したのは医系技官だけではない。独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)など、患者の受け入れに手を挙げた病院の経営者は、補助金バブルに沸いていた。第一線で新型コロナの患者の治療に当たった医師や看護師などの医療関係者は、感染者が膨大に増える度に大変な思いをしていたが、不眠不休で働いた医療者にきちんと報酬が行き渡っているのかも気になるところだ。

 新型コロナ用の病床確保策として、2020〜21年度、政府は新たに病床を確保した病院に重症者向けなら1床当たり1500万円、中等症以下なら450万円の補助金を出した。緊急事態宣言が発令された都道府県では1床当たり450万円が加算された。

 2022年度になっても、新たに新型コロナ即応病床を追加した病院には、1床当たり450万円が支給された。そのうえ、「病床確保支援事業」として新型コロナ専用病床として確保しているのに患者が入らなければ、一般病床で1床当たり1日約7万円、ICU(集中治療室)なら1床につき約30万円の補助金が出る仕組みになっていた。国民がコロナ不況や物価高騰にあえいでいるというのに、公的な大病院など新型コロナ関連の補助金を受け取った経営者たちは、かつてないほどの規模の補助金バブルにほくそえんでいたと思われる。