「黙食」に学級閉鎖減らす効果確認できず 高橋准教授ら報告

教育新聞

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、学校で行われてきた「黙食」(給食時に会話を控えること)について、学級閉鎖を抑える効果は非常に小さく、統計的に有意ではなかったという研究結果がこのほど、早稲田大学の高橋遼准教授らにより、経済産業研究所のウェブサイトで報告された。

 2020年の新型コロナウイルス感染拡大による一斉休校後、学校では「黙食」が推奨されてきたが、感染リスクを下げる効果が実際にあるかは検証されてこなかった。高橋准教授は「エビデンスの確認されていない政策が2年半以上にわたって続けられ、子供たちにも影響が想定される中、きちんとした効果検証が必要だった」と語る。

 今回の研究では、22年11月から23年2月にかけて、千葉県で黙食の見直しが進められていた時のデータを活用。見直しを進めていた公立小中学校(45校)と、継続していた小中学校(157校)の間で、学校・学級単位での学級閉鎖の発生状況を比較した。黙食の見直しが学級閉鎖の発生状況に与える影響を統計的に分析したところ、「黙食によって学級閉鎖の発生数や発生率が抑えられた」といえるほどの、有意な証拠は確認できなかった。

 高橋准教授は「他の研究では、黙食が子供たちのウェルビーイングなどに悪影響を与える可能性も指摘されており、柔軟な政策判断が必要。政策の効果を何ら検証しないまま、やみくもに継続することは問題が大きい」と指摘する。