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救い

幽谷響子は山彦である。妖怪なのだが、最近では山に反響するだけだとされる。彼女はそれを嘆かわしく感じていた。いや、それ以上に存在を認められない妖怪など妖怪たりえないのだ。
「どうして」
あんなにも住みやすかったのに。驚きは彼女、いや妖怪には心の栄養となるらしい。しかしながら、人間はそれを嫌う。全てをその納得できる範囲に置こうとする。
「もう無理なのかな」
響子はほとんど諦めていた。知った都合のよい「事実」は覆せない。響子、ひいては山彦全てはその存在価値を否定されたに等しい。
「こんな世界にいても仕方ないよね」
ある時、そうため息をついた響子は、住処としていた山を離れることにした。
もっと、そう、もっと遠くに。

気がつくと、山の尾根にそって移動していたはずが、少し開けた所に出た。そこからは少し雰囲気の違う山々だった。
「どこだろう……」
それを知りたかったものの、彼女は疲れきっていた。かなりの距離を動いた実感があった。岩に腰を下ろすと、疲労のせいか、そのまま動けなくなった。寝ず、飲まず食わずだったのもあった。
はあ、と息を吐くと響子はそのまま意識を手放した。未練などない、そう心で呟いて。

「ちょっと貴女、しっかりしなさい!野垂れ死にはいけませんよ!」
響子は気がつくと体を揺さぶられていた。力の出ない体で、かろうじて目を開くとそこには七色の長い髪を揺らして必死に響子を揺らす人の姿が見えた。
「うう……」
「よかった……。ほら、これでもどう」
差し出されたのは握り飯だったが、力の出ない響子には受け取れやしない。声が出るかさえ怪しかった。
「そう、動けないのね。こんな時は……あ、そうだ」
七色の髪の持ち主は何かを思いついたような素振りをすると、巻物らしきものを取り出した。その口が何かを言ったかと思うと、力が少し戻り、喉の渇きもあまり感じなくなった。
「これでどうかしら。あまり力をかけないように弱い呪文だったけれど」
その言葉から彼女も人外なものだとわかった。
「あ、ありがとうございます……」
響子はどうしても恐縮してしまっていた。名も知らぬ、しかも位のかなり上に見える方に助けてもらったから。自分を顧みると、寝ず飲まず食わずだったせいか、かなりみすぼらしくなっていた。
「どうお礼をしたらいいか……」
一番の問題はそちらだった。捨て置くつもりの命だったけれど、拾って取り戻してくれたのだ。
「それよりも、どうして貴女はこんなところに?」
首を傾げて尋ねる姿は、凛々しさとは裏腹に可愛らしさを感じさせた。
「それは……」
響子は口ごもりかけたが、この方ならいいかもしれない、と、話し出した。
……
「なるほどね……軽んじられるのは辛いものね。人間は仲間だったのに」
彼女(と、響子はしておく。見かけは人間の魅力的な女性なのだ)は、哀れみや慈愛、怒りのいずれとも取れる表情をしていた。このひとの中には色々と渦巻いている。響子はそう感じた。
「それで憂いから迷い込んだ、と……興味深いわね。まあ、それは置いておいて」
彼女は一つ咳払いをした。
「自己紹介からしましょうか。私は白蓮、すぐ近くの命蓮寺の和尚をしています」
みょうれんじ?おしょう?人の世に疎い響子にはそれらの語がわからなくて、名前くらいしか頭に入らなかった。びゃくれん、いい響きの名前だと思いながら口に出していた。
「ここでは様を付けて呼ばれることが多いけれど、少し気恥ずかしいわ。主に、人間に疎まれ憎まれ軽んじられる貴女のような子の救済を目指してるの」
白蓮が誇らしげなのが響子には眩しく見えた。
「幽谷響子さん」
不意に呼ばれてびくりとした。
「はい」
「貴女は帰りたいかしら。元いた場所に」
そんなわけがない。反射的に彼女は答えた。
「じゃあ、私の寺に住んでみない?誰か真面目な弟子が欲しいの」
命の恩人の望みを断ることが響子にできるわけがなかった。それ以前に、彼女には魅力的な提案だった。
「わかりました」
内心では二つ返事だった。
「よかったわ。いい子を助けた」
「すみません……」
響子が自信なさげに発言すると、白蓮は心配そうに、
「どうしたの?都合が悪いかしら」
と、響子の俯いた顔を覗きこんできた。思わず、響子は飛び退いた。
「私は貴女のことがよくわかっていなくて……人の世をあまり見なかったので……自信がないのですが」
白蓮は少し考える素振りを見せると、
「まあいいわ。追々教えるわね」
と微笑んで言った。
やはりそれは響子には眩しく、ともに過ごせる嬉しさを感じた。新しい生活への期待感に胸が高鳴った。
それがもう少し性質の違うものだとは、まだ響子は知らなかった。
木々がざわざわ、と音を立てていた。

<了>

君と生きる永遠

「ねえ、輝夜。」
ある日、妹紅は尋ねた。妹紅と輝夜は永遠亭の縁側に隣り合って腰かけ、月を眺めていた。少しだけ、月には雲がかかっていた。
「何」
「永遠って、あるのかな。」
輝夜は妹紅の言っている意味が一瞬分からなかった。
「私たちは永遠を生きることを強いられているのよ。私たちが生きている時が『永遠』。」
「いや、そうじゃなくてさ。」
妹紅は少し照れくさそうに笑った。
「いくら長い時を生きていたって、永遠にそのままなものってないんじゃないかって思ったんだ。」
妹紅は空を仰いだ。その目は輝夜には深い水底のように思えた。
「永遠不変ってことね。」
ふむ、と輝夜が考えるしぐさを見せると、妹紅はそれを止めた。
「難しく考えないで。輝夜の考えが聞きたい。」
輝夜はそれで察した。妹紅が悩んでいるのだと。
「そうね。永遠でもずっと同じとは絶対に限らないわね。どこかに流れの浮き沈みはあるし、変化なんてあるに決まってる。」
妹紅はそれを聞いて少し目を潤ませていた。感情をせき止めている、という感じが見てとれた。
「じゃあ、輝夜と私の関係も変化するってこと?」
そんな妹紅が輝夜にはいつもよりずっと愛おしく感じられた。強い妹紅でも、こんなことがあるのだと、意外には思ったが、それもそうか、と納得もした。「永遠」は絶対に私たちを不安にするものだから。誰にも保証できないものだから。
「そうね。」
輝夜が意地悪く答えると、妹紅の目からは一筋の涙がこぼれていた。もう限界、と言わんばかりの表情だった。でも、輝夜はこう続けた。
「だって、こんなに近くにいられるようになったんだもの。」
妹紅は一瞬呆気にとられたかのような表情を浮かべたが、満面の笑みでうなずいた。

「どんな時でもこの手を離しはしない。」
二人ともがそう思っていた。

<了>

すべて、遠い、幻想。

幸せな時なんて、そう長くは続かない。


ある日、仕事のお礼に現れた去り際に依頼主がこんなことを言った。
「街じゃ聖があやしの類を飼ってるって噂で持ちきりですけど、そんなことないですよね?」
一瞬驚いて固まってしまったが、平静を装った。
「いいえ、誰がそんなこと」
「いや、悪い噂ってやつでしょう。営業妨害ですかね。そんなの飼ってるやつがこんなに人気の退治屋になるわけないっての」
依頼主は笑いながら去っていった。

「まずい」
聖、白蓮ほど妖怪と人間の確執を知らぬ者はいなかった。ちゃんと隠していたつもりだったが、どこから漏れたのだろうか。そう白蓮は思っていた。
「私は姿をちゃんと隠していましたよ」
村紗はしっかり否定した。白蓮も村紗がそんなヘマを犯すはずはないとわかっていた。村紗は優秀だった。
陰陽師がいた時代にはきっと許されたのだろう。しかし、乱れた今の世界ならば妖怪は疎まれても仕方ないのだ。白蓮は少し様子見をすることにした。

しかし、街での噂は全体に広まり、排斥を唱える者まで現れた。それに拍車をかけたのは新しい噂だった。聖はあやかしである、というものだ。それには証人がついているようだった。間違いなくあやしの術を使った、と。

「村紗、貴女は逃げなさい。ナズーリンも」
「え、それでは聖が」
「大丈夫、私がなんとかする」
白蓮は村紗と、知らぬ間に居ついたネズミの妖怪、ナズーリンを逃がして自分だけで問題解決を図ることにした。信仰を利用して、だ。
「聖、お気をつけて。必ずまた会いましょう」
「ええ、必ず」
村紗は心配そうな顔で去っていった。
白蓮は寺にいる妖怪、寅丸星(とらまるしょう)に会いに向かおうとした。しかし、排斥運動は一層激化し、白蓮の住居は取り囲まれていた。排斥派が焼き打ちを狙ってきたのだ。
「村紗たちは逃げたわね…よかった」
おそらく、夜の闇に紛れて飛んでいったのだろう。白蓮は安堵した。
「偽りの聖は出ていけ!」
「待って」
白蓮は排斥派の前に立った。
「私があやかしだという証はあるんでしょうか」
「証人がいる」
「あやしの術を使った、という話でしょう。それは古の陰陽術ですよ。それはいけませんか?」
白蓮は反論したが、
「嘘だ」
と言う者が現れた。
漆黒の髪で、幼さの残る顔立ちの男に見える人だった。
「私にも陰陽術の心得はあるが、あのようなものはありえない」
彼が言っているのが何を指しているかはわからないが、彼がどうやら証人のようだった。
「く…」
白蓮は言葉に詰まった。確かに、彼女は陰陽術を使ったわけではない。彼女にしか使えない秘術の類だ。
「そら見ろ。捕まえろ!」
四方からたいまつを持った男が迫る。窮した白蓮は少し飛び、逃げた。
「あれこそあやしの術だ。自ら示した!」
排斥派は後を追っていった。

白蓮は星のいる寺へ助けを求めた。星とは親交が深かった。ちなみに、星は人々には「毘沙門天の使い」として認識されている。
「星、星から何とか言って。私はあやかしなんかじゃない。ただの退治屋だって」
「…」
星は答えない。考えている様子だった。瞑想のようにも見えた。ドタドタと足音が白蓮には聞こえた。排斥派が追いついたのだ。
「ねえ、星…」
星は突然口を開いた。冷ややかな表情だった。
「貴女は自分で何とかすべきだった。私は、そう私は…」
御堂の扉が全て開いた。星は哀れむような笑みを浮かべた。


「まだ、毘沙門天の使いでいたいのですよ」

排斥派が雪崩れ込む。白蓮を捕らえる。白蓮は気を失わされた。薄れゆく意識の中、白蓮は星の言葉を反芻しながら星の無事を願った。

気が付くと、縛られたまま本物の術師に囲まれていた。
「己の罪を呪うのだな。あやしに手を貸す、その罪を」
「私は…人は彼らとわかりあえる、そう思う。いつか必ず」
「そうかな…あやしなど撲滅してくれる。さあ、早くやれ」
リーダー格が指示すると、一斉に呪文のような言葉を唱え始める。白蓮は封印されるようだった。
(私の描いた理想は…叶わなかったというの)
異世界に飛ばされながら白蓮は思った。彼女の描いた理想、人と妖怪の共存はもう叶えられるはずもない。すべては淡く優しい幻想であった。
(ああ…南無三)
白蓮は封印された。遠くで漆黒の髪の幼く見える異形は笑った。


白蓮は暗闇にいた。
「私は…」
死を意識したはずが、闇にいることに戸惑った。
「ここは法界、永久に闇渦巻く世界。苦しいはずだよ」
どこからか声が聞こえた。聞いたことがあるとはわかった。
「誰…?」
その声は笑った。
「貴女を地獄に落とした者、と言えばわかるかな」
白蓮の脳裏に証人らしき人の顔が浮かんだ。
「貴女も妖怪だったというの」
「そう…貴女を妬んだ妖怪。封獣(ほうじゅう)ぬえ。貴女にはわからないわ。妖怪の苦しみなんて」
「だから私を?」
「まあ、面白くなかったからね。貴女の日々を壊したかったから。地獄の苦しみだよここは」
またぬえは笑った。笑い続けた。暗闇によく響いた。白蓮は…返す気力もなかった。彼女の言葉がよく効いた。
彼女自身わかっていた。しかし、守ることしかできなかった。それを悔いた。意識をたゆたわせながら、白蓮はただ一心に妖怪たちへの行いを悔い、人間のあり方を呪った。排斥しかできない、そのあり方を。


星が悔い、村紗らと白蓮の救出を図るのはその後の話。
<了>



連鎖を止めて

村紗水蜜(むらさすいみつ)は航海を学んだ航海士だった。船が好きでこの道へ進んだ。
そんな彼女に初めての航海が決まった。彼女はとても嬉しかった。複数の航海士が乗り組む大型船だった。村紗は一目で惚れ込んだ。
「絶対に成功させる」
そう意気込んで航海へ向かった。彼女の技術は相当なものだった。

はずだった。

(何が…起きたの)
気付けば彼女は海に投げ出され、船は沈没していた。彼女が愛した船が。

きっかけは年長の航海士の間違いに気付いたことだった。彼の記憶と現在の海は違っていた。村紗は反論したが、新人はベテランに比べて信用に足らなかった。妬みもあったのだろう。
そのごたごたが続いたが、年長者は
「お前がやってみろ」
と言った。
その顔は怪しげな笑みを浮かべていた。海図をすり替えて失敗させようとしていたのだ。
そのせいで船は難破した。航海士たちは何人かの乗員・乗客を連れて既に脱出していた。村紗がそれを知る由もなかった。

村紗は沈みながら怨嗟に震えた。
(私の大好きな船、愛した船を沈めた全てを私は許さない)
その海域に眠る亡霊たちと村紗の思いは呼応した。そして、村紗は妖怪としてその海域に現れては船を沈めるようになっていた。
航海士たちへの怨みを晴らすかのように。


聖白蓮が依頼を受けたのは村紗の事故から二年ほど経ってからであった。
「一定の海域で頻発する沈没事故…ねえ」
依頼をしたのは海運業者であった。莫大な損害が出ているという。
「嵐も起きてないのに沈没するなんて怪(あやかし)の仕業に決まってます。どうにか退治できませんか」
「なるほど…それは奇怪ですね。わかりました、お受けしましょう。また連絡しますのでお任せ下さい」
海運業者はほっとした様子で帰っていった。

「やるしかない…か」
自分の体を保つためにも退治の仕事はしなければならなかった。怪の力で命を、若さを白蓮は保っていた。

白蓮は村紗の事故が原因だと当たりをつけてから海へ向かった。

(ワタシノフネ…)
白蓮が着くとちょうど怪(村紗)が廻船を襲っていた。海を操っているようだった。暴走状態のように思えた。
「やめなさい!罪のない人を巻き込むのは」
(ツミノナイ…?コウカイシ二フクシュウスル…ソレガワタシ)
自らの合理化はもう済んでいるようだった。こうなると色々面倒だ、そう白蓮は思った。
「貴女の目的はもう果たされてる。貴女を、貴女の船を沈めた航海士はもう死んだの」
白蓮は使いに調べさせていた。残りの航海士は皆老衰や病気、事故で死んでいた。
「これ以上、お客様を、貴女の守りたかった船たちを葬るつもり?」
そう言うと、村紗は叫び声を上げて妖気を雷のように周囲に散らし始めた。拒絶したいようだった。
(ワタシハ…ワタシハ…ウオォォォォー)
白蓮は妖気に当たりながら村紗へ近づいていき、
そして、

抱きしめた。
「貴女は私が預かる。」
村紗の妖気が白蓮を傷つける。それでも白蓮は抱きしめ続けた。
「貴女は…無駄に消えてはいけない。憎しみは連鎖させては…いけない…。私のために居続けなさい」
その言葉が村紗を目覚めさせた。妖気が止まった。
「私は…貴女にお仕えしたい」
「いいわ。私のもとへ来なさい」
「はい!」
村紗の一件はこうして片付いた。村紗は白蓮のもとで働くこととなった。村紗が嬉しそうなのは…白蓮が好きだからなのだろう。
依頼主には白蓮は「退治した」と伝えておいた。仲間になったとは口が避けても言えまい。未だ怪は忌まれる存在であった。白蓮が人とあるためにはそうするしかなかった。

それが白蓮を追いつめることになるなど誰にもわからなかった。いや、一人を除いては。
「聖、現実はそんなに甘くないんだよ」

<了>

神の名を負ひて(後)

不意に違う声が聞こえたかと思うと、また光とともに違う何者かが現れた。土色の帽子に黄金色の髪、背丈は小さい。
「神の血をひく者だから。まあ、それほど濃くはないけどね」
「貴女は…?」
「私は…そうだな…貴女の先祖の神様、と言えばわかるかな」
気味の悪い力の源がそこにはいたのだ。
「別に貴女のもとに生まれたいと望んだわけじゃない!」
早苗は怒りをその人にぶつけた。
「まあ…確かにそうだけどね」
その人は悲しげな顔をした。
「悪かった」
早苗はその表情に罪悪感を少なからず覚えた。筋違いなのは早苗にもわかっていた。

「そんな話をしたわけじゃないでしょう、神奈子」
先ほどの人は神奈子というようだった。
「そうそう、肝心なことを忘れていたわ。いきなり罵られたから。」
早苗は何だか遠回しに馬鹿にされているようで不愉快だったが口には出せなかった。
「貴女、この世界は好きかしら」
「…はい?」
早苗はよくわからない質問をされて戸惑った。
「わからなかったみたいね。言い方を変えましょう。貴女、現実から逃げ出したいかしら」
早苗は即答した。

「…こんな不条理な現実、嫌です」

「そう…じゃあ違う現実に行ってみたくはない?とはいっても、戻れるわけはないけれど」
「はい」
神奈子はもう一人と相談して、こう言った。
「私たちはこの社ごと違う現実に行こうと思ってる。貴女のような巫女が必要なの。この世界からは痕跡も何もなくなるけどいいかしら」
それはリスクが伴う話であった。早苗には行く先の世界のことがわからない。それを言わないということは神奈子たちもわかっていないのだろう、と早苗には推察できた。
でも、冒険というのも楽しいかもしれない。
そう、早苗は思った。とにもかくにも、味方のいない現実など早苗は嫌だった。
「いいです。構いません。行きましょう」
「わかったわ。さあ、掴まって」
差し出された手を早苗は緊張しながらとる。これからは何が起こるかわからない。
そんな早苗の心を読んだのか、表情に出ていたのか、神奈子は
「大丈夫よ、任せなさい」
と頼りがいのある笑みを浮かべた。早苗はこの人になら任せられる、そう思った。

光が早苗を包む。
それが移動の合図だった。

早苗は今までいた世界に別れを告げるように、優しく笑った。


<了>
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