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うみ

黒い海を泳いだら
どろりと足に絡みついた

それでも土よりはましなので
そのまま引きずり込まれた



吐き気を催すような
白く透明な泡が昇っていく

もう一度それを吸い込むのは
もっともっと気持ち悪いので
僕は口角を上げてしぼり出した



黒の中に白い光りが見えた
陽気で自己主張が強い奴は嫌いだけど
この優しい傍観者は意外と好きだったので
手を伸ばしてみた




だけど届くことはない




途端にコイツは嘲る微笑みを浮かべて
僕を見下しやがった
小さな取り巻きたちも
凶悪な素顔を晒し


僕はほんの少し落胆したフリをした

そして唇が弧を描くよう意識した

舌が忙しく動きまわった





黒い海の中を下へ下へと
引っ張られていく


僕は投げやりに嗤った

どうでもいいんだ、
空気を震わせた




水面に雫が落ちた







叫んだ




もがいた




ここは嫌なんだ!!!!




怖い!!!!




助けてよ…




嘲る笑いをやめたアイツは
手を伸ばした










僕は手を伸ばせなかった



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