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バレンタイン前日


6時か…
手も洗わず椅子に座り、俺はひとつ息をつく。
ギアッチョは無事なのだろうか?






「じゃ、日が暮れる前には帰ってくっから」

彼は俺と目が合うと、そのまま踵を返し扉をくぐって行こうとした。俺は慌てて彼の袖を掴むと唇を押しつけた。


「…早く帰ってきてね」
「…ああ」

少し乱暴なドアの音と共に微かに、しかし確かに
愛してる、と聞こえた。

彼の残り香を大きく一息吸う。
淡い香りを楽しみながら、大事な仕事があったなと思い出してキッチンに向かった。

13日の金曜日。別に悪いことが起きるわけではないだろう。
スタンド対スタンドとはいえ、彼の絶対零度のスタンド、ホワイトアルバムが負けるはずはない。

流し台の上の棚から薄力粉を取り出し、準備を始める。バターはちゃんとあったよな。


いつも、なんだかんだいってお菓子を作るので、普通のケーキじゃ彼は満足してはくれまい。
甘党な彼の為に、今年は、特別なケーキを。



卵白が白い角を立てるまで泡立てる。
スポンジ作りは慣れたものだ。
普段の材料にココアパウダーとチョコレートを加えて、普段よりも色濃い生地を作る。
今日は夜が更ける前にはギアッチョは帰ってくる。明日は1日オフらしい。
そう、それも俺たちだけではなく、暗殺チームはみんな。
去年のこの日は、仕事があったはずだ。仕事がないのは困るが、平和なのは喜ばしい。
物思いに耽っている間に、オーブンの中の物質は膨らんでいく。いつの間にか、部屋中に甘い香りが広がっていた。

頃合を見てスポンジを取り出す。
程よく膨らんだスポンジ。冷めたら平らにしなければ。
冷ましている間にシロップを作る。仄かに香ばしく甘い香り。
スポンジの上の膨らみを、ナイフを横に滑らせ平らにする。もう一度ナイフを使い、スポンジは2枚になる。
表面にはシロップを、間にはラズベリージャムを。
ギアッチョのお気に入りのラズベリージャム。電車で20分ほどかけてわざわざ買いに行くほどのお店。
でもラズベリージャム、いつもは買わない。棚を見上げてひとつため息。買うのはリンゴジャム。
君の為にこれを使ったと言ったら、もったいないと君は怒るだろうか。



溶かしたチョコレートを上からかける。
赤いラズベリージャムを贅沢にたっぷりと挟んだチョコレート色のスポンジは、ツヤツヤした焦茶色に覆われていく。
表面を平らに均して、切れないナイフを脇に置いた。

時計を見るとPM1:00
特にすることが思い付かなくて、光の差し込む窓の前に座り込む。


ただ
ただ、外を見ていた。



いつの間にか、日が落ちそうになっていた。
赤い赤い夕日を見て、血の色だな、なんて思う。
ギアッチョは、いまどうしてるかな、と思った。



2月3日

節分ネタメロギア
ギャグです







農村の小さな家。描写は柔らかい。登場した若い女は、懐妊を夫に伝えるため、キッチンでケーキを焼き始めていた。

最近気に入っている新人作家。空気の描写が上手く、食べ物を美味しく書くことのできる人だ。いまだってほら…ケーキを焼く香りが漂ってくる気が…

…………?本当に匂いがする。これは夢か…?

香りを辿っていくと、キッチンの方向かららしい。近寄るにつれて香りはどんどん甘く鼻孔をくすぐる。

キッチンにたどり着くと、白いエプロン姿に赤いミトンをつけて、オーブンから焼上がったケーキを取り出そうとするメローネがいた。
旨そうだな、と声をかけようとした瞬間、先程読んでいた小説の筋が頭に浮かび、思わず声に出してしまった。

「気持ちわりいなそれは…ははっ」

「え?どしたのギアッチョ」

「いや、何でもねぇ…こっちの話だ…はははっ」

「なんだよそれー…」

唇を尖らせて拗ねながらも、手を休めずに働くメローネを後ろから抱きしめた。

「美味そうだなそれ」

メローネは背中でふふっと笑って答えた。

「ギアッチョ、今日は何の日?」

「え?なんかあったか…?」

「もしかして…忘れちゃったの…?」

急にシュンとしたメローネを見て、俺は焦る。もしかして何かの記念日か?
と、ひとりで考えを廻らせていると、目の前の男が肩を震わせて…笑いを堪えているのが見えた。
騙したな…このやろ

「メローネてめえ一体…」

「節分だよ?ギアッチョ」

きっと、顔に疑問符が浮かんでいたのだろう。
そのまま説明をしだした。

「去年もしたじゃん…プロシュートが酔って、鬼の格好のまま外に出てったさ…」

「…ああ!虎のパンツだろ?」

そういえばそんなこともあったな。あの時は、結局警察が保護してくれたんだよな。あの酔っ払いを…

「だからって何でケーキなんだ?」

「恵方巻」

「えほうまき?何だそれ」

「去年もあったでしょ?忘れた?」
「太い海苔巻き!」

…そういえばそんなものもあった気がする。だけどあれは…しょっぱいものじゃなかったか?
メローネは気にせず話し続けていた。

「最近は、ロールケーキの恵方巻もあるんだって。ギアッチョ甘いもの好きでしょ?作ってあげようと思って」



「…じゃあ何で9本あるんだ?」

「つ…っ作りすぎちゃったあはは〜仕方ないからアジトに持って行こうかな〜」

棒読みだ。そして目が泳いでいる。

「だけどねギアッチョ〜。リーダーが顔中クリームだらけにして頑張ってたら良くな〜い?」

…こいつは一体どこの腐女子だ。


結局完成品は、アジトに持って行くことになった。
別に、顔中クリームだらけのリゾットが見たいわけじゃない。
そんなわけはない。
そんなわけでは決してない。





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ある日の午後君と メロギア


「…めんどくせーな…」

ギアッチョが舌打ちと共に呟く。

「半分ずつだ。頼んだぜメロ」

「ああ。さっさと終わらせて久々の休日デートの続きしようぜ」

変な言い掛かりをつけて、俺らに絡んできた血の気の多いチンピラが俺らを取り囲む。
1、2、3……8人ね。ちょうど偶数じゃん。4人始末すれば良いのね。
相手は街の隅に溜まってるようなただのチンピラ。こんなのを片付けるくらい朝飯前…
ギアッチョがいつもみたいに髪を掻き揚げてる。そんなことしなくてもくせっ毛なんだから変わらないのに。まあ、始まりの合図になるその仕草、俺ディモールト好きだけどね!

あらあら、旦那様に見とれてたら怖いのがいっぱい近寄ってきたよ。拳使うのは久しぶりだ…一週間ぶりくらいかな?
そんなに焦って近寄って来なくても、ひとりずつ相手してあげるからさ。大丈夫だよ。




「さて、と。」

「ギアッチョお疲れ〜」

「おう。怪我はねーよな?」

なんだかんだ言って心配してくれるんだよね。可愛いよギアッチョ!

「ん〜…怪我しちゃった!歩けな〜い★」

「死ねッ」

あらあら…本当に照れやさん。知ってるんだよ。俺にだけ冷たくあたるってことも、実はベリッシモ優しい子だってことも、俺はちゃんと分かってるんだからね。
そうやって、俺を置いて歩いて行っても、実は背中全部を耳にして、俺の足音を待っているってことも。

だからわざとグズグズしてみたら、きっと君は心配になって振り返ってから、急に恥ずかしくなって、照れ隠しに怒鳴るんだろう?

「行かねーのかよッ」

ほらね、だから俺はギアッチョ、君が好きなんだ。




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期待の朝は雨 メロギア

雨の音で目が覚めた。
隣りの男はまだグッスリ寝ている。可愛い寝顔だ。ああ、どうして君はそんなに可愛いんだ。
俺と同じ色の、だけどクルクルと渦をなすその髪、俺の大好きな髪に指を通しながら、寝起きの気怠さに身をゆだねる。

今日は珍しく、ふたりともオフだ。それが前から分かっていたから、この日は一緒に出掛けようと、ふたりで約束していた。
そんな今日は雨か…止む気配もない。
別に俺は雨が嫌いではないが、ギアッチョが嫌がる。雨にムカついてせっかくのデートがおじゃんになったら嫌だな。
せめて少しでも苛立ちを押さえられるように、朝食の準備でもしといてあげよう。
そう思ってベットから抜け出すと、その振動でか、ギアッチョが微かに動いた。まあ、まだ起きることはない。低血圧だからか、朝に弱いのはいつものこと。どうせちゃんと起き出すまでに、あと30分ほどかかるんだろう?

朝食の準備も終わる頃、珈琲の香りに誘われたのか、ギアッチョが起きてきた。相変わらず寝癖は酷いが…今日は雨だ。髪も広がるよね。

「ギアッチョぉ?」
「あ?」
「今日どうする?雨だよー…」
「……チッ…」
「……?」
「…どうして雨なんかに邪魔されなきゃいけねーんだよックソッ!馬鹿にしてるぜぇッ!何でこんな日に限って雨なんだよォッ!」
「…それで「雨だからなんだ!雨なんかに邪魔されねェ!」

そのまま洗面所の方まで歩いていった、短気な恋人の背中を見送りつつ、俺はそっと溜息をついた。
どこに行くかなんて、最初から決めていない。いつものように、出発してから決めるつもりだった。
だけど今日のこの雨、じゃね。家で本でも読んでろって言われてるみたいだよね。

規則正しいリズムの雨音と共に、洗面所でまた文句を言っているギアッチョの声が聞こえてきた。

「あ〜っ苛つくぜェッ!これだから雨は嫌なんだ!髪がまとまりゃしねえッ!」

ギアッチョがあまりにも大変そうに怒鳴るので、髪のセットを手伝ってやろうかな、と洗面所に向かった。
その途中、窓に目をやると、気のせいかな、外が少し明るくなっている気がした。そのまま窓に歩み寄る。

「…はは…っ」

俺は思わず笑ってしまった。嘘みたいだ。

「ギアーッチョー!」





鏡の前、俺は集中していた。
こんなこと言うと、俺はものすごくナルシストに聞こえてしまうが別にそんなわけではない。
普段はササッと終わる髪のセットが、雨のせいでなかなか決まらない。
別に少しぐらいいいじゃないかと思うかもしれないが、今日は久しぶりにメローネとデートなんだ。ちゃんとキメなきゃ、なあ…

「ギアーッチョー!」

……?なんだ?今手が離せないんだよ!ここの髪が…!

「ギアーーーッチョッ!」
「ギーーーーッアチョッ!」

ぶはっ…!
なんだ今の呼び方は!思わず笑っちまったじゃねーか!
…っ!ここの髪、あと少しだったのにやり直しじゃねーかあッ!!
クソッ!雨も何もかも苛つくぜェ!

「ギアッチョ!早く早く!」

行かなきゃ黙っちゃくれねーようだ。


洗面所を出てみると、窓の外を満面の笑みで眺めているメローネが見えた。

「なんだよメロー「あーギアッチョ!こっち来て!早く早く!!」

メローネの隣りに立って、窓の外を覗くと、俺は息をのんだ。


いつの間にか雨は止んでいた。そして、置き土産をいくつか残していったらしい。

窓の外にあるプランターの花に残った雨の滴が、柔らかい日の光を浴びてキラキラと光っていた。
いつもは見るたびに不快に感じる蜘蛛の巣も、今はとても美しかった。
そして何よりも…目の前の空、窓に切り取られた空に広がった大きな虹。


隣りのメローネを見ると、虹に見とれ、今まで見た中で一番美しく笑っている。
この瞬間を残しておきたくて、俺は、窓の下の棚に手を伸ばす。
一時期ハマっていた一眼レフ。少しご無沙汰していたが、手入れはきちんとしていた。大丈夫だろう。

窓の外にカメラを向け、一枚。
そのまま体ごと右を向いて、その美しい横顔をフィルムに切り取る。

メローネがシャッター音に驚き、体が少し跳ねた。
目を丸くしたまたこっちを振り向いて、カメラを持った俺に気付くとはにかんだ。
俺は急に照れくさくなって、メローネが口を開いて余計なことを言い出す前に、カメラを持ったまま洗面所に逃げ出した。

今日は海にでも行こうぜ。まだまだ寒い中海ではしゃぐお前をいっぱい写してやるよ。


おはようございますー。


ちょっと更新滞っていました。
ネタはそれこそ腐るほど(笑)あるのですが…携帯で打ち込むのが面倒くさいのですよ。パソ欲しい…切実に…!
うちのパソコンが壊れてしばらく経ちます。母は、誰も必要ないだろと言い、昨年6月の引越しの際に回線も繋がなかったのですよ。
携帯で全てこなせと。ほう。なんてこった。
それからずーっと!ずーーーっと!パソ無し生活ですよ。

そんなことで滞りがちですが、ネタはアリアリですので、呑気に更新していきます。

なんてったって2月は!イベント満載ですよね!
節分とバレンタイン!


節分ネタもボロボロ出つつあります。
ホルが全員分の恵方巻をつくったり…
鬼交代制の豆撒きとか…
頑張って文章にします。

バレンタインネタはもう…熱々ですよね!
このサイトのメインカプのギアメロをはじめ、プリゾホルイルソルジェラ…
あ、それからチョコセコもやりたいなあと。
ある方から、暗チ以外はやらないの?と聞かれましたが…やりますよ!気分におうじて。

取り敢えず文章力鍛えます。
ではまた(^ω^)
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