銀色のつづき
2013.6.26.Wed 00:29
[ギンヒツ]


お稲荷様ギンと鬼の神使ヒツ

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一年中、気が休まる日がない。
ギンを守護するのが神使の務めである。


例えば四季で大まかに説明すると、

冬はとにかく寒いが、氷を扱う鬼である俺にはどうってことない。なので有能なギンの神使として暖をとってやる為に常に共にいる。
それと炬燵という電化製品とやらは妖や神すらも惑わす恐ろしい魔物、非常に危険。

(ギンが堕落しないように成敗しないと、)

春は心地いい気温で非常に過ごしやすいが、ぽかぽかの陽気は呆けてしまうから危険。

(ギンが微睡んで仕事をしない、)

秋は涼しくて飯も美味い、とても過ごしやすいが、食べ過ぎてしまうから危険。

(ギンが柿ばかり食べて肥えてしまう!)


夏は……、






夏の過ごし方







この一年の中で一番嫌いな季節は夏。
もうなんのやる気も出ない。いや、出さない。

お清めが終わればすぐバテてだらけるギン。
それも適当にやって、すぐ終わる。

こんな姿、お参りしてくれている人達には絶対に見せることは出来ない。


挙げ句の果てには、


「シロ〜、シロぉ〜氷出してえや、涼しくして〜」


充分涼しい筈の社なのに駄々をこね始める始末。
呆れた溜め息しか出ない、吉良はこのわがまま稲荷と何百年と過ごしているのかと思うと憐れで仕方がない。
俺ももう何十年かにはなるが毎年毎年いつもこの時期だけは、ちょっと苛つく。いやちょっと処ではないな。

苦手な四季など得にはない。
冬も大丈夫、夏もそんなに苦ではない、
けどこのわがまま稲荷ときたら、どんな季節でも何かにつけて俺を傍に置きたがる。

まあ、俺もギンを守護する神使として傍に居るのは喜ばしい事なのだけれど、
何十年経とうとも、夜を共し眠るという行為は、恐れ多いと未だに感じる。


「冬獅郎ぉ、無視しやんといて」


暑さで死んでまう…、とぼそりと呟いた後
ふわふわ尻尾がだらんと床に投げ出され、いつもはピンっと尖った耳は力無く伏せてしまっている。
ぐでんと横たわるギンの身体、
わざとらしく俺に背を向けて拗ねてみせるその背中から哀愁が漂わせていた。




「…今晩、尻尾全部出そっかなァ」



あー、でも暑いしなァ。無理やな。
シロが冷やこくしてくれたら久々に出したいん
やけどなー?

チラリと此方を窺う視線。
これは今晩の添い寝の尻尾枕は俺次第だと言っているということだ、ずる賢いやつめ!

全部出すってことは、あのふわふわ尻尾が九つに……っ!
まだ何度かしか味わったことない、あのふわふわ。


「……っクソ、わかったよ」


「っ!!」


「ちょっとだけだぞ!出したら絶対、適当に清めた場所をもう一度やり直しすること!!」



「はーい」





とかなんとかで結局夏とか守護とか関係なく
年がら年中甘やかしてしまう俺がいる。








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相変わらずふわふわ尻尾に弱い小鬼の日番谷さん。
ちょっと、私が書くギンヒツってほんと日番谷さんが市丸さん大好きよな、と思います。

いいんです、それで!

日番谷さんの好きの大きさより市丸さんは次元の違う愛してるにいっちゃってますから、安心してください。

二人の愛を天秤にかけると、市丸さんのほうが重い気がします。


この二人の設定好きですー。
寝るときも昼寝するときも殆ど一緒にいるこの設定の二人のが愛しいです。


では次回は仮面を更新したいと思います(^q^)

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