生存確認
モ゛氷(dcst)
2020/8/29
01:37
吐くならもっとマシな嘘吐いてよと、鼻で笑っていた癖に。はらのなかを抉る凶器は、いつも感じる熱と何ら変わりない。
「ははっ、あんなに嫌がってたくせに。君も相当、好き者、だね?」
「ッ、るさ、…」
いつもと同じ大きさで、熱さで。彼そのものであるそれは、確かに快楽を与えてくるのに、どこかつめたくてこわい。
救いを求めて手を伸ばした先で触れた肌のあつさだけが、気が狂いそうなこの状況の中で唯一、私を保ってくれるものだった。
「モズ、くん…っ」
「…氷月…」
これ以上ない程に、彼を傷付けた。そんな事は解っている。彼の目の前で、彼であり彼でない男と繋がる。嫌だと泣いて逃げそうな私を、ここにとどめる為に、抱き締めていて欲しいなんて。
こんなのはいやです。助けて。…口に出来る訳もない言葉は、血の味がするキスで隠した。
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