新型コロナ対応の「時短命令は違憲」 カラオケ店、命令取り消しと1144万円損害賠償求め国・県を提訴 鹿児島地裁

10/1(土) 8:02配信
南日本新聞

 鹿児島県が新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づき、営業時間の短縮を命じたのは「憲法が保障する営業の自由を侵害する」などとして、カラオケ店を全国展開するコシダカ(東京)が、国と県に命令の取り消しと1144万円の損害賠償を求め、鹿児島地裁に提訴したことが30日、分かった。時短命令の違憲性を問う訴訟は県内では初めて。提訴は7月25日付。

 訴状などによると、同社は「カラオケまねきねこ」を鹿児島市で3店、霧島市で1店運営。いずれも感染対策を強化した県の第三者認証店で、時短命令が「カラオケ事業という業態や店舗の個別状況を考慮することなく行われた」「特措法が定める『特に必要があると認められる』要件を満たさない」と主張。命令取り消しとともに、店名公表で売り上げが減り、信用も損なわれたとして、国に1100万円、県に44万円の損害賠償を求めている。

 政府は今年1月27日、特措法に基づく「まん延防止等重点措置」を県に適用し、適用が解除される3月6日まで、県は全ての飲食店に時短営業を求めた。2〜3月、要請に応じなかった同社の4店を含む16店舗に時短命令を出し、ホームページで店名を公表した。

 県は「弁護士と相談しながら、適切に対応していきたい」としている。

 時短命令を巡っては、飲食チェーン運営会社(東京)が都を訴えた裁判で、命令を違法とした一方、違憲性は退けた一審東京地裁判決が確定している。

■営業時間短縮命令

 2021年2月に新型コロナウイルス対応の特別措置法が改正され、都道府県知事は、まん延防止等重点措置などに基づき、正当な理由なく営業時間の短縮要請を拒んだ事業者に命令できるようになった。特措法は、まん延を防止するため「特に必要があると認めるときに限り」命令できると規定。鹿児島県は要請に応じなかったとして21年9月から22年3月までに計32店舗に時短命令を出した。