アニメ・スキップとローファー個人の感想

Twitterでダンスシーンの作画を見て気になった。最初の印象は恋愛がテーマのよくある少女漫画。 あとは絵が綺麗。声優さん最高。

見始めたらアダルトチルドレンの特徴がサラっと入れられていたところに驚き惹きつけらました。

アダルトチルドレンはしまくんで、みつみちゃんはその対極にある存在という狙いを感じた。

みつみ視点でしまくんは最初大人っぽい印象ですが、アニメ最終回では「子供のよう」という感想になります。

今までしま君は子供としては生きられず、大人(母親)に大人(ケアラー)としての役割を求められていたこと。ずっとそれに応えてきた事で自分の気持ちが分からなくなったことが分かりやすく描かれてます。

どんなに女の子に囲まれても自分を肯定できない、そんな気持ちすら無自覚。自分の好きな食べ物すらパッと浮かばないという島君のセリフは典型的なアダルトチルドレン・ケアラーの特徴でそこまで徹底した描写には唸らされました。

子供になれなかった青年がやっと子供になって終わる、穏やかな幕引きとは裏腹に彼の人性を大きく変える瞬間が訪れた感動的な最終回でした。

でも、最初はしま君がアダルトチルドレンとは思っておらず途中で見るのをやめようと思ってました。

最初はみつみちゃんのキャラクターが気に入らず、とてもイライラ。でもすぐアダルトチルドレンと真逆の描写にアレルギー反応を起こして嫉妬していることに気が付きました。

一番大きな理由は愛されていること、みつみちゃんはそれを受け入れられることでした。 

後は自責・他責・自己蔑視が少ないところ、細かいところをあげれば切りがありませんが、そちらも徹底的だったからこそすんなりとみつみというキャラクターを受け入れられたんだと思います。

家族に愛されてる人ってこんな感じなんだ…とまるで私もしま君になった気分でみつみちゃんを眩しく思っていました。

虐待を経験しなかった人にとってみつみはどういう風に写っているんでしょうか。

私は漫画のレビューを見て感想を補完する習慣があります。しまくんと同じ理由で自分の気持ちが分からないからです。これを甘酸っぱい青春だと書いてるのを見るとアダルトチルドレンにとっての救いがそこかしこに存在するのが青春??と驚きを隠せない。

つまりしまくんにとっては、みつみちゃんの存在は青春と片付けるには重過ぎると言いたい。

しま君はみつみちゃんに自分にはない答えを求めている節があります。
彼の反応や漫画の雰囲気からわかるとは思いますが、それはそれは眩しいです。救いでもあります。えっ!そこそうなるんだ~!とアダルトチルドレンなら泥沼にはまって抜け出せなくなるようなところを軽やかにかけていく。それでスキップとローファーか~

アダルトチルドレンは生まれた瞬間から未熟な大人にエネルギーを奪われる人生が始まっています。しまくんで言うと情緒不安定な母親が家庭の中心で、大人がフォローすべき幼馴染の面倒を見させられ、自分に使う時間があまりない状態がそれです。

そうなるともう高校の頃なんてスッカスカの0スタートです。そりゃ遅刻するしサボるよ。母親と距離ができたことに加えみつみちゃんが他人に良いエネルギーを与える存在として描かれることでしま君は自分の人生を生きる余裕が生まれたのだと解釈します。

アダルトチルドレンの課題は親の求める人物像になれなくても自分はこれでいいんだと思うことなんですけど、それはどんな立ち位置であろうと色んな人に当てはまるから作品の雰囲気が優しい。アダルトチルドレンとその真逆の存在の間の立場の人間の描写や救い上げも丁寧で、作品からは親が子を見守ってそっと助け舟を出しているかのような雰囲気を感じました。そこも癒しポイント。

あと気持ちの描写が丁寧なのに、さらっとしているところが見やすかったです。しま君をふわふわと掴み所がない友達の距離に置くことで、アダルトチルドレンの描写がドライで客観的でした。(この先重い展開があるかもしれませんが)

原作者さんの過去作を見ると、アダルトチルドレンをがっつり描いた作品があったので、機能不全家族のおぞましさ、辛さを表現する事を乗り越え成熟した作品なのかもしれないと思った。

テーマ的にはどうしてもねちっこく壮絶なものになってしまいがちな、アダルトチルドレンの要素を優しい雰囲気のアニメを通すことで、重さも押し付け感もなく、爽やかに見終わることが出来た。そこが感動。おしまい。

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